リュックサッカー〜人としてあるべき姿、豚としてあらがう姿〜

【1.リュックサック万歳】
 最近の流行は、A4どころかB5の紙すらもまともに入らないボディバッグ。
 そりゃあ持ち歩く物が大型化し、スマホの充電器やタブレットまで加わるのだからダメだと思う。やっぱりリュックサックの出番だ。

 なにより身体に密着できるから通勤ラッシュではぐれないし、前に回せばリュックが確保してくれた自分のスペースで本を広げる事が出来る。
 両手が空けば片手で吊り革を握り、もう片方の手はご自由にスマホも本でもなんでもござれだ。
 リュックサック・イズ・ビューティフル!


【2.中見るの? え? え?】
 まあ、おいらもリュックサックの中に何が入っているのか聞かれる事はある。自転車通勤の今は読む本もなく、折り畳み傘と1〜2リットルのペットボトル、そして弁当箱だ。数は少ないが意外とスペースと重量を取るので肩掛けの鞄でなくて助かっている。

 そんなリュックサッカーライフを送っておりましたが、この記事でびっくりしたのは、他人のリュックの中身をぶちまけてネット上で公開した事ですな。
 いや、たしかに無駄があるとは思った。ノートPCがタブレットだったら手帳も書籍やマンガもいらないかもしれない。加えて仕事の書類と、フリーペーパーや謎の紙まで一緒なのは文書管理能力に不安がある。著者の言いたいことは、よく分かる。
 ただ、何が良くないって水商売の女が見たって事だ。多分おだてたり、周りを盛り上げるためにノセて御開帳させたのだろう。
 そうでなければ、いつ入れたか分からない紙切れや、まして社外秘にもなるような仕事の書類を出したりすまい。
 百歩譲って、見たのは良い。千歩譲って犠牲者の名前や特徴をリュックサック以外さらさなかった事を誉めてやってもいい。ただ、本人や読者に有益なアドバイスはしてやれなかったのか。それでドキュメント管理がデキる男に変わったならばめでたしめでたしじゃないか。
 読んでいて不愉快なのは、こうして彼の弱点を全世界に配信し、笑い者にした事だ。多分女子会のネタにして自分たちの女子力の高さをなんとなく誇ってそれで終わりにした事ですな。


【3.イケてるリュックw】
 リュックサッカーの男子の怒りを買ったかもしれないと書いた著者は、イケてるリュックとしてハードシェルのリュックを挙げている。
 そうだねシェルが固いと繊維がほつれないしね。光沢のある仕上げとかは確かに素敵だ。

 でも、硬いリュックは通勤ラッシュでぶつかると迷惑になるという原則を考えて欲しい。仕事の書類をリュックに入れた彼らは、業後の息抜きに水商売の店に行ってひと時疲れをいやすのではないのか。
 イケてないリュックサッカー――わしのようなぶにせ(薩摩弁でキモメンの意味)――が良くて金づるや単なる自分の食糧――薩摩黒豚や観音池ポークとかMの国黒豚(本当にそんなブランド豚が宮崎県に存在する。宮崎と都城ダブルミーニングだろうな。BHYYYYY)――に見えたとしても、それを品評して断じるだけのコラムはいただけない。


【4.人としてあるべき姿、豚としてあらがう姿】
 整理整頓をした方が毎日疲れないし、仕事も捗って楽しいよ! みたいな普通の事がなぜ言えないのか。
 ダサいとかモテるとかそんなことじゃなくてさ、リュックサッカーが心配性に見えるならば心配を取り除くことを一緒に考えるのが人としてのあるべき姿じゃないか。
 衣食足りて礼節足るという言葉がある。
 心配事が減ってダサイのダサくないのを人は考えられる。

 翻って、著者が思いやりがないのも、衣食が足りないからかもしれない。
 水商売でも一流の方は、祇園の芸妓のようにきちんと人に教訓を与えてくれるものだ。

 ネタにされたA氏が心配だ。彼はいつまでこんなフィールドに居るつもりだろう。
 人は人の間で生きる以上、社会とつながらざるを得ない。凡人は常にキョロ充を目指して頑張るしかない。
 だからこそ、せめてキョロ充をして得る物が社会とのつながりや給料や慰めだけではなく、自分自身の技芸を磨くものでなければならない。
 そうでない世界や人々には、ためらいもなく手を振って後にしたい物だ。