『私は…あんたと一緒に、夢が見たい!』


【あらすじ】
 ラジオで『抱きしめたい』を聞いたレイはマキ・プロに乗り込み、マコトと直談判する。
 想いをぶつけ合う二人はショウの取りなしもあったが、物別れに終わる。

 それから程なくして、マコトとショウはファンレターをヒントに、最後のメンバーであるコンタを見つける。海老名ローズというストリッパーの愛人になっていた彼は、マコトのやり方を認めるが、ファブ・フォーには合流できないという。ローズと彼女の子供たちを愛するコンタは、来月には彼女と共にススキノへ行くのだという。
 マコトとローズは、コンタに未来を決めさせるため、一つの提案を固めるのだった。


【感想】
 いよいよ4人再会!
 真っ直ぐな熱い思いを持ちながらも空回りするレイ、穏やかながらも鋭い洞察力を持ったコンタと、残りのメンバーも一癖あり魅力的です。
 その中でも、マコトは相変わらず強く印象に残ります。
 前巻までは強気で夢に囚われた若者にしか見えなかった彼ですが、レイとの再会を前にした反応、ローズのコンタへの思いの根底を見抜くなど、他者への目線や想いが見え、意外と成熟したキャラクターであることが伺えました。

 個人的に一番印象に残った場面は、ローズの前でコンタがドラムを打つ場面です。
 ローズと家族の運命を賭けたこのシーンは、コンタの実力への確信と、ローズ自身の生き方に対する救いや昇華があり、何度も読むうちにローズの涙に感情移入させられました。
 割り切れない想いを抱えながら現実と格闘していくキャラクターの想いはそれぞれの結果をもたらし、次へと押し上げていきます。
 今後、レイはどう動くのか。ファブ・フォは果たしてビートルズと渡り合えるのか? いずれに転んでもドラマチックな展開が期待できそうです。