優子のありえない日常、読む
【1.出城の陥落】
寄る年波のせいか、はたまた近年増えてきたレギンスとショートパンツの装備で脚線美を強調する女性達に当てられてか、私の一角を占めていた出城が陥落した。
つまりはまあ、三次元アイドルの写真集を初めて中古ではなく、新品で購入したのだ。
何を買っていいのかさっぱりだった。しかし恐ろしいことだが、三次元に対する飢えや乾きを感じていたのは間違いがなかった。
とりあえず『ポニーテールとシュシュ』で水着姿の軍団を形成していたAKB48が記憶に鮮やかだったので、メンバーの本を購入した。
総選挙でNo1になった娘さんを選んだのは意図してのことでなく、その時たまたま書店にあったAKB48メンバーと判別の付いた人物が大島優子しかいなかったというだけである。
しかし、これが意外な示唆を持っていたので、こうしてポメラのキーを叩いている次第である。
【2.読んでみた】
読んでみると意外なことに、総選挙首位のトップアイドルの魅力にメロメロになることはなかった。
何かが物足りないのだ。
単に好みのタイプではなかった、とまとめるのも癪なので、考えてみるぞ。
多くのアイドルの写真集とかPVは、デートとかプライヴェートの空間に踏み込んだ、或いは踏み込んできてくれた体裁をとっている。
この写真集もその例外ではなく、南の島の海ではしゃぐ大島優子が撮影されていたりするのだが、それだけではないのだ。
シチュエーションによっては、恋人よりも距離のある友達や知人、あるいは通りすがりでも見られるようなショットがある。
表情もそうだ。
あなたといるから楽しい、とかあなたを楽しませたい、ではないのだ。
私が楽しくて、その風景の中にあなたがいる。そう言い表した方がいい。
隙がない、と言うわけではなく、ヒッチハイクの車を逃して残念がる場面や、サーカスで颯爽と一輪車で登場するや最後にはひっくり返るシーンなど、ドジっぷりも披露している。
言ってみれば、媚びがないのだ。
【3.得心】
だからか、と納得はした。
面白いことにAKBでmixiボイスを書いたところ、女性のマイミクさんが熱い反応をしてくれた。書店で写真集を買い求めるとき、高校生くらいの女子がグラビアを立ち読みしながら、可愛いかわいいを連呼していた。
女性にとって大切な価値観である綺麗やカワイイは、まず男性に対してでなく、女性同士の中で価値を確認されあう。
世の男性の理想とする女性の肉付きよりも、細身のプロポーションを女性達が理想とする。
つまるところ、可愛い・或いは綺麗で媚びない女性が女性ウケするのであり、そうしたアイドルもまた存在するのだ。
不思議だと思ったものだが、なんとなく得心が行った。
AKB総選挙の形式は純粋な人気投票ではなく、ファンの経済力も関わっているのだが、しかし媚びない態度の大島優子が女性票を多く獲得し、1位に上り詰めたのではないか。
実際の事情はいっさい知らないが、こう愚考する次第である。
【4.おしまいに】
しかし納得をするにはしたものの、写真集で満たすはずの三次元への乾きが満たされなかったのは事実。
この後、戸松遥と大島麻衣の写真集も買ったことは付け加えておく。
だから何、と言われても困るし、そちらで書くのかはわからないけれど。