7/10(土)【妄想】『クラウド・コンピューティング』の儲け話
【1.いまやクラウド、いまやリソース】
クラウド、雲の事である。
そんなに難しい英単語ではないが、日常でほとんど使わなかったこのカタカナが今急速に普及している。
いわゆるクラウドコンピューティングと言われるもので、インターネット上にある様々なサーバを使い、様々なサービスを利用者に提供している。
一方で、サーバ仮想化というシステムがある。
近年のサーバのハードウェアの進歩は目覚ましく、サーバはそのリソースの多くを持て余しているので、余剰リソースの上に仮装OSを立て、一つのマシンに複数以上のサーバ機能を詰め込んでいるのだ。
このようにして、今や業務用のサーバは、サービスの提供のためにある時は合体し、ある時は分身しと、ロボや忍者のように八面六臂の大活躍をするようになったのでありました。ベベンベンベン。
……仕事もこう妄想できるくらい楽しければいいのですがね、コンチクショウ。
【2.クラウド、リソース時代の投資システム】
ここで提案したいのが、一個人個人がサーバのオーナーとしてIT企業へ出資し、自分の持ちサーバが提供したサービスに見合ったコストを企業から対価として月々いくらかの収入を貰えるような投資システムはどうか、と言うこだ。
不特定多数の部外者へ情報をオープンにすることは、セキュリティに抵触する問題をはらんでいるかもしれない。
しかし、サーバのハードウェア仕様なんかはメーカーのページなどを見ればある程度分かるから、オープンにしてもいいだろうし、サービスも曖昧に書けばそんなに問題にならないと思うのだが。
例えば、『仮装サーバホストOS(ゲスト4台)』だけでは、ゲストOSが何のサービスを提供しているかは、分からない。無論、OSに依存せずに直接ハードウェアにアクセスできるHyper-V環境といえど、いささか動作は重くなるので、頻繁なアクセスが発生するタイプのサーバには使えないから、察しのいい人はある程度の役割も分かるだろうけれど。
【3.オーナー制度と価値の流動性】
ただ、こうした投資システムは、応々にして斜陽産業にしか適用できないような気がする。
例えば、銚子電鉄の枕木オーナー制度とか。
例えば、日光の杉並木にオーナー制度とか。
何かの基金でネームプレートに名前が載るとか。
その昔、経済学のイントロで学んだこととして貨幣の流動性という概念があった。
貨幣はそれ単体では何もできない。しかし、価値が等しいあらゆるものに交換できうるから価値があるのだと。
企業への投資が、株券を買うことで直接お金を流すことになる所以である。
特定のモノとは、必ずしも企業がその時々に必要な物資ではないのだ。
しかしながらクラウドやホストOSなどのシステムは、IT機器・リソースに流動性を与え、webメールやブリーフケース、グループウェアなど様々なサービスの提供を行ってくれている。
それほど非現実的な案ではあるまいし、私の考えた投資システムは何点かメリットを持っている。
一つは、クラウドや仮装サービスの機能をITに詳しくない人たちへ宣伝する機能があり、クラウドのサービスを提供している会社には一定の効果があろう。
経営的な面だけでなく、従業員にもメリットがある。
サーバーのオーナーを一般の投資家にすることにより、サービスの見える化・改善が促される。何点かサーバーのオーナーになれば、例えばシャーシの中央にあるブレードサーバが温度異常を起こし易いことや、バックアップ時の負荷が高すぎて障害につながりやすいなどの事象をサービスレポートで確認し、改善につなげることができるのではないか。
近年の企業は労働組合など内部の声などは弱まった反面、投資家の発言権が強くなっている。最近の株主総会でも投資家たちの声により、多くの企業の役員報酬が明らかになったことは記憶に新しい。
最後に、このお話は投資家にもメリットがある。
当然ながら、不労所得で得られるお金が第一だが、そのバックグラウンドには、ITと関わる時間のパラダイムシフトがある。
iPadやTwitterにオバマが苦言を呈したように、近年の私たちは多くの時間をインターネットに費やし、安くても5〜10万円するパソコンを3〜5年で買い換えている。
ITに費やされる金と資産はバカにならない。
しかし、この投資システムを使えば、人生において多くの時間を占めるITコストをクラウドが担う不労所得で取り返せるのだ。
どうだろうか。
妄想と言うには妄想だが、少なくとも私はワクワクしてきた。
起業するとかそんなつもりはないが、こう考えると辛い思いをさせられることが多いITも、少しは楽しく思えてくる物だ。