7/3(土) 放課後プレイ読む

senri_gusuku2010-07-03

【1.なれそめ〜mixiアプリ・ソーシャルライブラリー〜】
 しばらく前の話になる。
 mixiアプリのラッシュが華やかなりし頃、マイミクさんの間で流行り、私も伝導に熱を入れた『ソーシャルライブラリー』なるアプリがあった。

 ソーシャルライブラリーとは、こんなmixiアプリだ。
 アプリに登録すると、まず画面には空っぽの本棚が現れる。
 ここには自分の蔵書を登録できる。オンライン上のデータベースを検索し、気になっている本、持っている本を登録すると、表紙が表示される。
 登録した本には、様々なデータが登録できる。買った日と読み終わった日、星1〜5個の評価を与えられ、各々の感想も登録できるのだ。
 なかなか魅力的なアプリなのだが、私やマイミクさんの間では、流行るのと同じくらいのスピードで廃れていった。
 まあ、アプリの更新とは、頑張ってもなかなか足跡を得られないし、本のレビューも真面目に書こうとすると疲れるものだ。

 それでも、マイミクさんのレビューしてくれた本の何冊かは印象に残り、何冊かは読んだり買ったりする気になった。
 本作『放課後プレイ』(作:黒咲錬導)もその1冊であった。


【2.概観】
 あらすじも含めてレビューするのは、本作に似つかわしくないので、敢えてすまい。

 表紙を飾る妖しくうねる黒髪と脚線美を見せつけるヒロイン『彼女』から怪奇モノを連想させられるが、作品の傾向は正反対だ。
 一人暮らしをしていると思しき少年『彼』の元に毎回ヒロインが訪れる。
 『彼女』が『彼』を蹴っ飛ばしたり、たまに微エロなシチュエーションに陥ったりしながら、ゲームや雑談に興じ、微妙な距離間の恋愛時空を繰り広げていく。
 そんなお話である。

【3.感想】
 読んで何つう生々しい4コマなんだ、と思わされた。
 日常の生活に占められるゲームの時間の多さ、そしてゲームのことばかり話している放課後。
 うーん、この作品みたいに女子とそれに興じたことはなかったのだけど、私にも確かにそういう時期があったなあ。
 もちろん、作中の二人が語るゲームの量は高校生の小遣いにしては半端ではない。
 ただ、それでも二人はゲームをプレイしきれずに持て余したり、時間の無駄ともいえるような3桁に達するターンで敵と戦い、苦戦していたりしている。

 そう。人生におけるこの季節は、多くの物を味わうが、しかし全てをコントロールしきれずに『持て余す』物だ。
 それがとても生々しいのだ。
 二人の間に恋愛感情はあるのだが、二人ともその関係を進めることに躊躇があったり、感情に振り回されて突拍子もない行動を取ったりする。
『彼女』の拗ね方や自己嫌悪のありようは、ただツンデレという記号に帰結しきれないものを感じさせられる。
 本作の情報量は少ないが、多くを語らないことで読者の誰もが持つ・或いは現在進行形の体験に訴えかけ、『彼』と『彼女』の関係性に強い訴求力を持たせることに成功しているのだ。

 端的に言えば、私も『彼女』に踏まれたいし、いちゃつきたいという事です、ハイ。

 最後に、カバーを外した表紙に描かれた『彼女』の黒ニーソ姿は実に良かった事を付け加えておく。