2010年アメリカ中間選挙の結果について

【0.はじめに】
 さてさて、尖閣の動画流出で世間が色々ゆれておりますが、とりあえずアメリ中間選挙の日記でも。

【1.日本での関心】
 今回の選挙ですが、NHK『きょうの世界』や『クローズアップ現代』などでは取り上げられたものの、民放では投票日である11月3日に放送された『池上彰の学べるニュース』では収録された別のニュース(レアアースミャンマー民主化問題、etc……)を放送し、mixiニュースでもそんなにクローズアップされていなかったような印象を受けました。

 報道を見るとさもありなん。
 あまり日本とは関係のないアメリカ国内の医療保険改革が失政とされ、オバマに大してYESかNOか、という所が選挙の争点になっている事が分かります。
 国際的な問題であるイラクアフガニスタン政策がどうなのか、とかリーマンショックサブプライムローン問題の後でアメリカの経済復興のための政策がどうとかではなく、ただ単に国内の政治問題だけがクローズアップされた感がありました。


【2.選挙の示す道筋】
 ただ、日本での格差社会や増加する非正規雇用者はアメリカ主導の自由主義経済・グローバル経済やその模倣が作り出したものではないかと私は考えています。
 『小さな政府』による競争社会をやめ、『大きな政府』による社会福祉を掲げるオバマ民主党が勝ち続けて政権運営を続けて欲しいとの思いがあった物の、結果は見ての通り。
 ブッシュJr.政権でさえ2期続けられたのに、2年後にオバマ氏が大統領として再選されるかどうかも危惧される結果となりました。
 ただ、今回の選挙でアメリカが変わった事を印象付けられる事が2点あったのではないか、と思います。

ティーパーティ
 ボストン茶会事件に因んでそう名乗る保守的な草の根市民運動家たちの事です。
 今回の選挙では、彼らによる支援活動が共和党勝利の原動力だと言われています。
 ちょうど2年前にオバマ氏が勝利できたのもネットによる支援の力が大きかったと言われており、オバマ氏は勝利の原動力となったフィールドでお鉢を奪われた形になりました。
 日本のインターネットでは主に自民優勢、民主劣勢の構図で固定されていますが、アメリカでのインターネットでは特定の政党が有利にはなっていない事が伺えます。
 また、ティーパーティも盲目的に共和党を支持しているわけではなく、自分たちの意向に沿わない候補者を落選させるようなキャンペーンを展開していました。
 

民主党候補が中国批判
 カリフォルニア州上院選では現職の民主党候補バーバラ・ボクサー氏に対し、共和党はヒューレット・パッカード(以下、HPと略します)社元CEOカーリー・フィオリーナ候補を擁立して選挙戦を挑みました。
 この時、民主党側はフィオリーナ候補がHP社CEO時代に人件費の安い中国へ業務を移管し、5500人の雇用が失われたとのキャンペーンを展開しました。
 政治闘争のため相手のネガティブな点を突くのは定石ですが、アジア圏では日本よりも中国寄りと言われる民主党候補がこうした発言をしたのは、記憶していい事でしょう。


【3.今後のアメリカはどうあるのか】
 サブプライムローンやリーマン・ショックなどに代表されるように、近年のアメリカを震源地とする経済不況は、アメリカンドリームの美名の下に隠蔽された夢を食い物にする商法や投資の体制にあるように思います。
 この経済体制を変えない限り、また景気が回復してもすぐに景気は低迷するでしょう。
 オバマ氏にNOを突きつけて、2年後に来るだろう共和党政権が果たして何ができるのか。
 やはり大きな政府か、経済をコントロールできる法案の採用しかないように思えますが、実行するかどうか。

 ただ、対中政策に関しては今後人民元の切り上げ要求等に関しては民主・共和ともに手を取り合えるはずです。
 今後のアメリカに対してあまり多くを期待できませんが、これくらいはして欲しいものです。