行くんだアレックス。親父に負けたくないんだろ?


【あらすじ】
 民主党候補が一同に会するTV討論会で、ノアは、ヤマオカがかつて弁護士時代の活動で作った環境保護の法律の廃案を後年賛成している事を指摘した。
 追い打ちをかけるノアにヤマオカはあっさり己の過ちを認める。廃案になった法は費用をかけるばかりで、現実の環境汚染に対して何ら効力がなかったことと、自らの法律への信念を述べるヤマオカに視聴者は本音で語る政治家と認めるのだった。
 その夜、ヤマオカに負けない事を決意した鷹志は、レイチェルと結ばれる。
 ニューヨーク州予備選挙は、ブラックバーンの支援もあり、ヤマオカの得票率はついにノアを越えた。

 次に目指すのはテキサス州だ。保守的な気風の強い南部だが、食品会社を経営しアメリカ一の牧場主ドン・テイラー民主党支持者だ。影響力のあるテイラーの支持を得られれば、この州の予備選挙は有利に進むが、彼はこの選挙で民主党の候補者を支持しないことを決めていた。
 テイラーを動かすべく、選挙対策本部長アーサーは彼が会長を務める食品会社で座り込みをかける。
 一方、ヤマオカは日中の選挙活動に加え、深夜は牧童たちが集まるカフェで銃規制を訴えて反感を買うのだが――。


【感想】
 マイケル・ムーア以前に日本人に届くエンターテインメント作品で銃問題についてまとめた作品があったとは!
 銃について、ただ規制しようというのではなく、銃がアメリカ人の心性に深く根ざしたものだと理解した上で、所持を認めて規制をかける本作のリアリズムを感じました。

 まあ現実には、周り中荒くれ者ばかりであったり、ノアに追いつめられた不利な状況で堂々として巧く振る舞えるかは分かりません。ただし、自分の過ちを認めたり相手のプライドをくすぐる形で議論をするヤマオカ流ディベート術はなかなか見事です。
 罠にも危険な場所にも飛び込んでいく様はほれぼれします。

 一方の主役の鷹志の方も成長が見られる巻となり、アレックスの背中を押し始めます。レイチェルも自分の出自に根ざした政治への思いがあり、それが6巻への伏線になっていきます。