アフリカと携帯電話

【ケニヤの出稼ぎ労働者】
 数日前にBSの海外ニュース「きょうの世界」でケニヤでの携帯電話を使ったサービスが紹介されていた。

 ケニヤも都市と地方の格差が存在し、首都ナイロビへ多数の出稼ぎ労働者が流れ込んでいる。
 しばらく前まで、彼らの頭を悩ませていたのが、送金の問題だった。

 日本であれば銀行振り込みの出番になるところだが、ケニヤの銀行は諸費用が高く、庶民の手が届く物ではないのだという。
 故郷への仕送りは、人に金を預けるか、自ら運ぶしか手段がなかったのだが、旅費の問題や途中で強盗に襲われるリスクがあったという。

 そこで携帯電話会社は新しいサービスを開始した。
 送金者はまず各支店に金を預け、携帯電話で暗証番号と送金先の電話番号を入力する。
 正しく手続きがなされれば、送り先には入金を告げるメールが届くので、最寄の支店でお金を受け取ればこれにて仕送り完了。
 一回に送金できるのは500ドルまでで、1日の限度額は1000ドルだが、手数料は極めて安価だという。

 旅費や帰郷のための休暇の取得の問題から解放された、出稼ぎ労働者の家庭は飛躍的に豊かになりつつあるという。


【ざっと感想〜ケニヤの今後】
 我々の感覚で言えば、一般的な金融機関をすっ飛ばして、イーバンクじぶん銀行にまで達してしまったという事なのだろうな。
 可視化できる社会的インフラの構築を通り越して、ITの世界に足を踏み込んだアフリカは今度どうなっていくのかは興味深い。

 ただ、一方で国内の健全な経済活動のために、国が治安を守るような意欲が削がれるような事態にならないか、そこは気掛かりである。


【ざっと感想〜携帯電話】
 しかしアフリカで使われている携帯がノキアや見た事のない海外メーカーばかりなのはなんとも歯がゆいなあ。
 現在、総務省ではSIMロックを解除する制度を検討中というが、日本の携帯が世界でも使えるような規格を取り込めば、アフリカにもマーケットが広がっているという事である。

 携帯電話はIT機器としての側面と、カメラやワンセグそして「電話」という家電製品としての二つの顔があると思う。
 SIMロック解除は、日本の携帯マーケットを外国に開くため、日本にとってマイナスだとの意見もあるが、家電・IT機器共に少なくとも日本人には日本製品が多く売れていると思われる。
 通信規格の問題さえうまくクリアできれば、後は日本にとってはチャンスが残るだけだと思うのだが。
 性急に進めずに、問題を一つひとつクリアするような形で政府にはSIMロック解除に取り組んでもらいたい物だ。