社民党がわからない

【0.はじめに】
 少しタイミングがずれたのだけど、折角書き上げたから載せておくぞ。
 以下、本文です。


【1.せめて徳之島に】
 米軍基地は辺野古の海を埋め立てて作る事になり、結局ヘソを曲げた社民党は政権から抜け出してしまった。
 政治的信条に殉じたと言えば格好いいが、果たしてどうなのか。

 今回の米軍基地移転で、議論に費やされた時間が結局無駄になり、辺野古になってしまったのは、政権与党内での意志の不統一が一因としてあるのではないか、と思う。

 辺野古に杭打ち桟橋方式、或いは徳之島と主張が変転する民主党、とにかく国外一点張りの社民党
 民主党の当初のマニュフェストも国外だったけれど、考えるに、それは無理があるのではないか。
 沖縄に米軍基地があるのは、台湾や朝鮮半島で有事があった際に即応できる地理的要件を満たしているからだ。
 韓国に移せば、台湾の即応性が損なわれる。台湾に米軍基地を設ければ、対中間系が悪化する(たかだか15〜30年の寿命に過ぎない潜水艦やイージス艦の台湾への提供が出来ない現状では、半永久的な大地の上にある基地はおけまい)。

 断っておくが、私は沖縄に犠牲を払い続けて欲しい訳ではない。昨年発足した鳩山政権に与えられた時間内で、アメリカが納得できる地理的・政治的な条件を満たせる場所は、おそらく国外ではなさそうだと言いたいのだ。

 愚考するに、ベターな選択肢は徳之島であった。
 米軍基地はやや離れるが、それでも橋本知事の主張する大阪のように台湾や既存の沖縄米軍基地からは距離的にはまだ近い。
 結果として、基地は辺野古に落ち着いてしまったのだが、4月はアメリカ側も基地移転の遅れに対して理解を示していたから、与党各党間での合意を素早く取れれば、別のシナリオもあり得たと思うのだ。
 徳之島移転は、沖縄県以外の自治体が米軍基地の問題を抱えることにより、今後社民党民主党以外が政権に就いても、問題定義をし続ける種蒔きにはなっただろう。


【2.『与党』と社民党
 顧みてみれば、水と油の組み合わせであっった。
 社民党は護憲。民主党改憲で、9・11直後は米軍を支援する自民党の法案に賛成してきた訳だ。
 政治的信条に殉じるという点においては、民主党と手を組んだ時点でそれは失われていたと言えるし、或いは村山内閣が成立し、旧社会党自衛隊を合憲だと言った時点で失われていると言える。
 それがいいのか悪いのか、と言えば一長一短である。

 が、政治の世界は民主主義や憲法に謳われる崇高な理念とは違う。
 印象と実績、そして結果がモノを言う。
 恐ろしい事にポイントはここで、政策や法律の成果を独り占めできるのが、与党の強みである。
 本当に考え出したのはブレーンである政府系のシンクタンクの職員かもしれないし、思想の左右を問わず大衆の皆さんが毛嫌いしている官僚かもしれない。
 或いは、にっくき政敵かもしれない。
 だが、法案を通過させ、実際にある程度効果を挙げたときに与党であった政党や政治家、あるいはその支持者は胸を張って主張し続けるのだ。
 あれは、俺が考えたものだ、と。
 あれは、俺が作ったものだ、と。
 それは真実ではないが、事実の一側面としては間違いがないのだ。
 与党が泥をかぶり続けても、強い支持や発言力を保持し続けられるのは、そう言うことだ。

 政党である以上、いつか与党に、というヤマっ気を持ち続けるのはあってもいい。
 ただ、それは泥を被り続け、その泥をパワーに変えるだけのバイタリティがないと駄目だ。
 今回社民党は、民主党との連立を自ら解消したのだけど、今後はどうしたいのか。
 次の選挙でまた自公政権にゆり戻しが起きた時は、民主党とともに野党になるのか。
 その後、また民主党が与党に返り咲いた時は、どうする?
 また手を結ぶのは難しいのではないか。
 それとも、今回政治的信条に殉じたことで、次の選挙では最大与党となりうると思っているのか。

 どうする気だろう?