8/1(日)借りぐらしのアリエッティ鑑賞
※細かいあらすじは書きませんが、一部にネタバレを含んでいます。未見の方やネタが割れていると鑑賞したくなくなる方はご遠慮ください。
【1.はじめに】
なんとなく最近ジブリから遠ざかっていたわしですが、旧友のエコー25氏に誘われ、ACミラン氏ともども3人で鑑賞したぞ。
ぢつはこの日、わしの転職活動の段取りのために朝ばたついてミラン氏は1時間の待ち惚け、エコー氏はミラン氏とすれ違いという致命的な事態を巻き起こしています。
それでも継続する友情って素晴らしい。
いや、深く陳謝いたしますです。
【2.おはなし】
ドラマとして本作で描かれるのは、すれ違う善意や好意です。
例えば、花が咲き乱れる庭でアリエッティと翔太が話す場面は象徴的だと思います。
翔太のアリエッティに対する思いは一方通行でした。ドールハウスのプレゼントは迷惑そのものだったし、アリエッティに対して語ったのは、本の知識に自分自身を仮託した物に過ぎません。
この時まで翔太は小人たちを現実に足場を置く人間と思わずに、幻想の世界の住人だと認識していたという事が見て取れます。
お手伝いさんのハルにしてもそう。
中盤の彼女の行動はまさに悪役そのものです。さすがにあの場面では小さな子供が泣き出したりしましたが、背景にあるのは貞子に誉めてもらいたいという無邪気な思惑くらいしか見えません。
ただ、ハルは小人を虫や小動物のように思っていた節があります。翔太に対する仕打ちは言うことを聞かない子供に体罰をしたり、土蔵に閉じこめるのと同じノリと考えれば、違和感はありますまい。
だから、物語のラストでアリエッティの傍らにはスフィラーがいるのは悪くはないと思いました。
寡黙な野生児ですが、スフィラーはアリエッティと翔太の最後のひとときを理解することができたのだから。
【3.おしまいに〜ジブリの延命】
見終わって第一に感じた事は、ああジブリもやっとそれらしい後継者を手に入れることができたな、と言うものでありました。
舞台は一民家、登場人物も二家族プラス数名とコンパクトにまとまった作品世界は、科学文明批判であったり、国や共同体の命運を賭けた戦いなど、今までジブリが描いてきたスケールの大きなテーマとは無縁であります。
しかしジブリ的な良質な部分、愛される部分(ファミリー向きの安心感と置き換えてもいい)をよく引き継いでいるなあ、と。
ギブリーズやゲド戦記を見たときには費やした時間と金を後悔した物でしたが、本作ではその印象は皆無でした。
興味のある方は見ても損はないでしょう。