9/5(日)二宮ひかるの初音ミク

 大学時代、Book-offでコミックを全巻揃えるのに血道を上げさせられたまんが家がいた。
 その人は二宮ひかると言う。

 大体まあ、男女の恋愛やそこから派生した18歳未満お断りな大人の恋愛を描いていた作家さんで、とにかくヒロインが魅力的だった。
 この人の凄いところは、素材が全てと言うようなところだろうか。
 描かれるヒロイン達は学生やOL、はたまた風俗嬢までいたけれど、おたく的な想像力に訴えかける肩書き――くノ一とか、宇宙人とか、異国の姫君とかアンリアルな――の者はそうおらず、言動のミステリアスさ、儚さ、はたまたヒロインによる誘惑などで男女が交わり(エロい意味でもエロくない意味でも)、物語が展開していくのだ。
 今になればこうして一応言葉にできるのだが、あの頃は夢中で、計測不能な心の動きをこうして言葉にできず、ただむさぼるように何回も読んでいた。

 で、何の話かというと、最近二宮ひかるのブログを見つけたのだけど、そこでいい意味で度肝を抜かれた。

http://ameblo.jp/hikarux-x/image-10497714535-10478082356.html

http://ameblo.jp/hikarux-x/image-10353489044-10264233290.html

 二宮ひかるによる初音ミクのイラスト!
 一枚目のアンニュイな表情、自然なポーズは明らかに二宮ひかるタッチだ。
 だが、こうまで細い体型のヒロインを二宮ひかるは書いてこなかったし、二枚目の躍動的な動きは完全にミクをモノにしている、と思う。ネギこそ持っていないけれど。
 まあ、そりゃあ漫画家だから最新のおたくシーンに通ずるのはマーケティング上ありだ、という反論もあるかもしれない。
 しかし、二宮ひかるのブログに載せられた本人の著作以外のキャラは、ミクぐらいの物で驚いている。
 作風の転換?
 はたまた今まで出さないようにしていた?

 どちらにせよ、二宮ひかる初音ミクと言うこの面白い化学反応をもたらしてくれるイラストを楽しんでいるわしがいる。
 いやいや、善き物を見たでございますです。
 眼福眼福。

 (文中敬称略)