10/10(日)コンテンツとしての「らき☆すた」と「けいおん!」の寿命

【1.興味深いツイート】
 Twitterで興味深いツイートを見つけたので、書いてみるぞ。

『あれだけ騒がれたらきすたが今では踏み台や駄作扱いされてたりするし、けいおんも遠からずその末路辿る予感がひしひしと。映画とかさておき、新作出たら忘れられそうな勢い。ハルヒと違ってらきすたけいおん「映像化以前からのファン」は絶対数少ないし、京アニ信者の比率高いし。』

 わし自身はこのツイートを見て少なからず頷く所はあったのだけれど、果たしてどうなのか。
 両者共に確かに映像化以前のファンは少なかった。
 ただ、展開と消費のされ方が違ったのではないか、と思う。


【2.展開と違いと】
 らきすたは、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の翌年に放送された。
 ハルヒと同じ角川発の作品であり、キャストも平野綾茅原実里ハルヒと被っており、番組中ではハルヒを有名アニメ作品として扱われ、主人公こなたがライブイベント「涼宮ハルヒの激奏」の観客になったエピソードまで描かれている。
 他にも劇中でネタやパロディとして多くの作品を用い、ヒロイン達でいにしえのアニメ・特撮ソングを熱唱するという特徴的なエンディング、そしてキャラソンもネタ色が強かった。

 対するけいおん! はどうか。
 この作品もらきすたと同様、主人公となる女子高生達のゆる〜い日常を描いた作品だ。ただ、この作品ほとんどパロディやネタはなかったと思う。
 第二期しか見ていなかったから何ともいえないのだけど、物語は軽音部3年生4人組の卒業を控えた進路や、残されるあずにゃんや憂、そして先に卒業したクリスティーナとさわちゃん、曽我部先輩などのエピソードを織り交ぜ、過ぎ行くものとしての青春を巧みに描いていた。

 これはらきすたにはできない事だ。
 らきすたもまた黒井先生がいて、彼女はこなたと一緒にオンラインゲームをする。
 こなたの父もまたオタクだ。
 しかし、おたく活動には終わりがない。終わりがないからこそ、けいおん原作は4巻で完結したけれど、らきすたは8巻まで出て未だ継続中だ。
 良いか悪いかではなく、けいおんは終わる事が宿命付けられているからこそ短く印象に残る。
 らきすたはネタがあれば限りなく作り続けられるけれど、ネタはナマモノだから常に供給が求められ、消費されていく。
 この違いは決定的だと思うのだ。

 また、主力商品であろうキャラソンにはあまりネタ感はなかったし、劇中歌は妙な内容でも劇中で説得力あるものとして描かれていた。
 キャラクターグッズと劇中のリンクは物語を重要な要素である。
 例えば、ハルヒのGod knows……が劇中で流れた直後にCMに流れるように、例えば登場MSが劇中で活躍してすぐにガンプラとして模型屋の棚を飾るように、だ。
 らきすたもキャラソンや劇中歌はあったが、惜しむらくはそれだけの熱狂を与えられるような作りをしていなかったのだ。


【3.おしまいに】
 わしの序列の問題かもしれないし、けいおん! 第一期を見ていない身として下した評論が正しいかどうかは分からない。
 ただ、出現の仕方と、消費のされ方、そして展開された商品の質を見るに、けいおん! が容易く流れきるとも思えない。
 歳月と共に熱が冷めていくことはあるだろう。
 ただ、これから先も思い出として生きていける作品ではないかと思うのだ。