そうさ、親父じゃない……アンタは俺の……取材対象だ!

senri_gusuku2010-11-11


【あらすじ】
 父親を知らずに育った毎朝新聞の若手記者城鷹志は、沖縄で暮らす唯一の肉親である母富子をガス事故で亡くし、天涯孤独の身の上となった。
 富子の散骨を終えた鷹志に、新聞社からは意外な任が与えられる。
 アメリカ大統領候補のケネス・ヤマオカの申し出により、鷹志に選挙活動の密着取材をさせるというのだ。
 戸惑いながらも記者魂を燃え上がらせる鷹志にヤマオカは告げる。
「私はキミの父親なのだよ」
 アメリカの大手銀行の頭取の妹と結婚をし、家庭を作っているヤマオカの姿に鷹志は戸惑う。ヤマオカにとって富子と鷹志はスキャンダルの種なのではないか。富子はヤマオカに殺されたのか? 鷹志が呼ばれた理由は?
 一方、民主党候補の中でも下位のヤマオカは、党の代表になるべく活動を行っていた。
選挙コンサルタントであるジョージ・タクトにアポイントを取るとともに、対立候補のスキャンダル情報をリークする……。

【感想】
 いきなり現れたアメリカ大統領候補が自分の父親! エネルギッシュで堂々としながらも意が読めないヤマオカといい、次が気になる出だしです。
 政治劇の中の父と子というと、父親越えが描かれるのか気になるところですが、嫡男アレックスはヤマオカに完全に負けていますし、主人公鷹志は態度を留保したまま。
 ヤマオカを巡る家族模様も気になりますが、一方で選挙戦も忘れてはなりますまい。

 本編でいかに格好よくても、ヤマオカはまだ有象無象の候補の一人でしかありません。
 勝つために共和党の選挙アドバイザーをスカウトする大胆な行動に出たかと思えば、スキャンダル情報をリークする相手は大物のノアではなく、目の上のたんこぶのゴールドプラムだったりと、様々な手を尽くしての情報・心理戦の緻密さはさすがかわぐちかいじだと感じさせられました。