大いなる移民……そう“21世紀への移民”なのです!

senri_gusuku2010-11-12


【あらすじ】
 ニューハンプシャー州予備選挙に挑むヤマオカは、レストランを貸し切りにして食事を摂るノアに論戦を挑む。引き分けの結果に共和党専門の選挙コンサルタントのジョージ・タクトもヤマオカの味方になることを宣言する。
 タクトによるCMや、リーク情報による政策提言によりヤマオカの指示率は上がり、ニューハンプシャー州予備選挙では、ついにノアに次ぐ得票率を獲得した。
 一方、ヤマオカの妻パトリシアは興信所を通じ、鷹志の正体を知り対抗意識を燃やすのだった。

【感想】
 ピンチの時は敢えて罠に飛び込むか、最も危険な手段を取る。
 ヤマトやグレンラガンなどではお馴染みの燃える展開ですが、政治劇の本作でもこうした文法が取れるのは、きちんとエンターテインメントしているなあと感じさせられました。
 レストランでのヤマオカとノアの論戦は、本巻で最も好きな場面です。
 教育問題の論争、チェスの駆け引き、ヤマオカのノアへの姿勢、そして政治家としてのヤマオカの原点など何重の意味が凝縮されています。

 牧羊犬に導かれることなく、自らの意志で考えて行動できる羊を。
 ヤマオカの主張は、人間が皆平等だと考える民主主義の原則ですが、保守化が進んだ近年の日本ではノーブレス・オブリージュの概念に押されてすっかり影を潜めたような印象があります。素敵な価値観なのに、古いと感じさせられる、そんな時代の変化もあるのだなと感じさせられました。

 選挙の日の票起こし活動など、本当に熱さを感じさせる作品です。
 最後に、鷹志とレイチェルの仲がいつの間にか進展していてびっくりしました。