奇跡の実現に必要な物は、綿密な青写真ではない。その志の高さだ!

senri_gusuku2010-11-16


【あらすじ】
 ニューヨーク市長ギルバート・ブラックバーンことB・Bとの交渉が失敗したヤマオカは、ホテルに乗り込みB・Bとの直談判を行う。
 改めて支持を依頼するヤマオカに、B・Bは市長2期目に起きた訴訟以来、ヤマオカに弱みを握られ続けてきた恨みを吐露する。
 ヤマオカを潰せるチャンスに色めき立つB・Bに対し、ヤマオカはB・Bの真の目的を見抜き、お互いの支持をバーターにしようと持ちかける――。

 コロラド州予備選の後、鷹志はパトリシアへヤマオカとの馴れ初めをインタビューする。兄のルームメイトとしてのヤマオカと出会い、互いを人生のパートナーとして認める二人の歩みは文句の付けようがなかった。
 ヤマオカの人生に曇りはない。ただ、自分と母を除いて。
 ノアとのTV討論を控え、選挙スタッフとの模擬討論会を行うヤマオカへ鷹志は現代における家族制度の崩壊を問いかける。
 その問題は、ヤマオカとアレックスとの問題でもあった。選挙スタッフは鷹志の眼力に舌を巻くのだった。

 TV討論の本番でヤマオカはノアに引け取らず互角の展開を見せるが、ノアにリードされた現状では、じり貧になる一方だ。議論が環境問題に移った時、ノアは攻撃を仕掛ける。弁護士時代のヤマオカの活動により生まれた法律を議員になったヤマオカが廃案に賛成した過去を暴露したのだ――!


【感想】
 何度も鍔迫り合いをし、ついには真意を探り出すB・Bのエピソードは、お互いが切り札を隠したまま進んでいただけに難解でしたが、最後はB・Bの志を味方に付け小気味良い幕引きでした。一方の主役である鷹志も、選挙スタッフやアレックスの信頼を得て、成長が感じられます。
 ヤマオカとパトリシアの恋愛など、和やかな場面が多かったように思える巻でした。

 最後に、今回の引きですが、うまいなと感じさせられました。
 衆目の中でピンチに晒されただけでなく、クリーンな市民派弁護士と現役の政治家という二つの経歴を完璧に行ってきたであろうヤマオカの姿勢が問われる場面はとてもリアルです。
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