1/144スターゲイザーガンダム
【1.はじめに】
以前日記に書いたように、スターゲイザーガンダムが無性に気になりだしたわたくし。
いやいや、大河原デザインのガンダムが最近懐かしく思えて仕方ありません。
個人的にはターンAなど全く異端のデザインや、OOシリーズの異なった系譜のデザインも大好きなのですが、しばらくするとまた大河原デザインが恋しくなってくるものです。
まあ、ここ最近ガンダムというシリーズが、背景やコンセプトをうまく次の作品で昇華しているので、前作で思いっきり実験的な物が次の作品を見て魅力が分かるようになるんでしょうねえ。
【2.キットについて】
プロポーションはご覧のとおり。
太すぎない程度に骨太なプロポーションです。
少し腕が長いのと、足が短いのが気になるかな?
キットの構成はなかなか個性的です。
箱を開けて一番目立つのは、ヴォチュワール・リュミエールのリング状の部品の大きさでしょう。
スターゲイザー最大の個性だけあってなかなかのインパクトです。
また、スライド金型を使って部品の点数と継ぎ目消しの手間を減らせてくれたり、なかなかいいキットです。
他にも大胆な構成があります。
脛の正面の外装パーツはなんと膝からスネ正面、そして足首のアーマーまで一体成型!
頭部は、メインカメラや額の赤いパーツの塗り分けが大変そうですが、メインカメラが別パーツになり、塗り分けの際は楽が出来そうです。継ぎ目も消しやすそうです。
全体的にバンダイの技術力の高さを見せつけてくれるている感じですが、詳細に見ていくとあながちそうとも言い切れない部分も見えてきます。
【3.可動について】
さて、キットの可動ですが、関節のメインはガンダムSEEDシリーズ標準のポリキャップ可動ですが、一部にABS樹脂を使っており、なかなか新しい試みになっています。
まずは、うまく行った試みとして、手首関節について紹介したいと思います。
ご覧のとおり、手首の関節はABS樹脂を使っており、他のガンダムSEED系のキットよりもコンパクトで幅広い可動を確保しています。
下の写真をご覧ください。
手首の上下の動きに、ボールジョイント付け根の動きが加わり、ダイナミックな動きになっていることが分かると思います。
また、軸が引き出し式のため、ポーズを取らない時は軸が見えないようになっています。おかげで、間延びしないで密度感のある印象を受けます。
対照的にうまく行かなかった試みとしては、肩の関節のダブルボールジョイントでしょうか。
ご覧のとおり、横へ跳ね上げても90度にもなりません。
保持力も弱いので、フレームだけだとポロポロ落ちますし、多少重いパーツを持たせるとヘバります(苦笑)。
限りなく非武装に近い機体でもあるんで、あまり意味のない機能だとも言えますが……それで済ますのも面白くないので、同じ世界観の1/144ドムトルーパーのギガランチャーを持たせてみました。
ご覧のとおり、グリップを両手持ちさせた状態で砲身を水平に構えられます。
背後から見るとどれだけ肩の関節が働いているかが見て取れますね。
あ、キットにはビームガンしか武器は付きませんからね!
簡素なデザインですが、持たせると何故か多少ぐらつきます(苦笑)。
初めて見た時は武装の非力さには驚いたのですが、よく考えると対するストライクノワールはビームライフルショーティだし、ブルデュエルはリトラクタブルビームライフルと言ってほとんど拳銃くらいの火器しか持っていないんですよね。
スターゲイザーの世界観では十分な火力と言っていいでしょう。
それに武器が大きいとヴォチュワール・リュミエールの光の輪に干渉するし(汗)。
同じABS製の関節ながら堅実な構成で成功したのは、股関節の回転でしょうか。
SEED Destinyか、スターゲイザーくらいから1/144HGで本体側の股関節のブロックその物を回転させて足を大きく前に出せるようになっています。スターゲイザーもその構造を引き継ぎ、ABS樹脂の恩恵で比較的単純な構成でそれを実現しています。
その他、足の可動範囲については、写真をご参照あれ。
ま、標準的といったところですが、スネ後部のスラスターパーツが可動の妨げにならない構成は素晴らしい計算だと思いませんか?
【4.ディテール】
バリバリにスジ彫がされている訳ではありませんが、キットのディテールはかなり質が高いです。
まずは頭部。
顎の赤いパーツの微妙なライン取りや頬のダクトにある繊細な二つの穴に注目です。
後頭部も見事。ダクトがきちんと彫刻されています。また、継ぎ目の一部がダクトの内側に入り込んで、ユニットごとの重なり合いを演出しているのは心憎い演出です。
腹部はこのキットで一番ハイディテールな部分です。
フレームの彫刻の繊細さは見事!
外装との重なり合いで奥行きも表現されていて、中々の密度感があります。
そうそう、何故か背中のヴォチュワール・リュミエール固定ピンの穴は笑っているような顔をしています。
にこにこにこー。
続いて、脚部。
キットの造形の良さを感じられるショットだと思います。
ディテールの入った手の甲、柔らかな曲面を描くふくらはぎやフレーム、はっきりとした筋彫りがナイスです。
また、主に宇宙空間で活躍していた機体ですが、足首を伸ばすと、裏側にディテールがきちんとあります。
プラモとしてはいい構成ですが、実際のマシンがこうした構造できちんと自重を支えて二足歩行できるか不明はあります(苦笑)。
足裏はきちんと別パーツになっており、肉抜き穴なしでディテールを楽しめます。
個人的には、つま先にある六角形のバーニアがお気に入りです。
きっとこのデザインがOガンダムのふくらはぎのバーニアにつながって行くんでしょうね。
メインであるヴォチュワール・リュミエールも手抜かりはありません。
外側、内側問わずに縁にはディテールが施されています。
単純なパターンですが、あると嬉しいですよね。
ちなみにヴォチュワール・リュミエールのリングはこのように、スタンドをかさ上げした追加パーツに付属しています。
スタンドはキット付属の物ではなく、雰囲気重視でダブルオークアンタの物を使っているので要注意。
さて、不足ないディテールを誇るキットですが、勿論問題点がないわけではありません。
例えば、このショット。
先ほどのアングルでフラッシュを焚いてみましたが、どうでしょうか?
脛に内蔵されたバーニアですが、縁がかなり肉厚で、スケール感からするとかなり惜しいですね。
腹部フレームと同じランナーだから、ABSに繊細な表現は不可能とは思えないのですが、何があったのでしょうか?
また、スラスターカバー内側やフレームの継ぎ目を消すのはかなり骨が折れそうですよね。
【5.おしまいに】
このキットを見て思う事は、この時期のガンプラって塗装して完成させることが前提ではないのだなあ、という点です。
継ぎ目は目立たないようになっていますが、消しにくい部分にばかり大きな継ぎ目が目立ったり、ブロックビルドアップができないようなパーツ構成にもなっていますからねえ。
このコンセプトが発展して1/144HG OO(1st season)のABS多用キットにつながり、そしてなぜか2nd Seasonのモデラーに非常に優しいキットに生まれ変わるのは不思議な巡り合わせです。
まあ、ただ組み立てる分には全体的にいい出来のキットであります。反面遊べる要素が少ないですが(苦笑)。
ヴォチュワール・リュミエールには様々なモードがあるらしいですが、それがどうも格好いいとは言い難いモードも多く、取り敢えず標準的な形態でしか写真は撮っていません(苦笑)。
まあ、本来の用途が探査機だし、シンプルな外観に惹かれていたこともあるため、特に不満はありません。
ただ、腕のパーツ構成などを思うと、デスティニーのビームシールドがはまりそうにも思えますが、実際のところはどうなのでしょうか?
とまれ、ターンA⇒スターゲイザー⇒ユニコーンというデザインの流れも感じることができ、シンプルな大河原ガンダムを久しぶりに体感できて楽しいひと時でした。