1/144ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)

senri_gusuku2011-11-05


【1.はじめに】

 当初は、ユニコーンモードしか発表されなかったユニコーンガンダムのデザインは微妙な違和感がありました。
 名前の通りユニコーンの一本角がある独特なデザイン、ガンダム特有のフェイスやツインアイもないデザインはヒーロー性こそありますが、ガンダムらしくありません。
 また、全身に設けられたディテールは、名機ターンAのデザインとRX-78のデザインを融合したような、妙なところがあります。

 どう捉えていいのか迷っているところで、ユニコーンガンダムデストロイモードのデザインの公開が!
 白い全身に赤いサイコフレームのクリアパーツをふんだんに用いたカラーリングは、青系を多用するそれまでのカトキガンダムとは印象を異にしており、兵器としてよりもヒーローや現代では想像できないテクノロジー」の産物としての説得力を持っているように感じられました。

 で、本編を劇場でみてみると、大いに気に入ったんですな。
 内容としてはベーシックなガンダムだし、第一話はラピュタ風、第二話ではクルーゼを上回るしたたかさを持つフロンタルなど、新しい所はない物の、手堅い作りは安心感がありました。

 さすがにMGでは値段もサイズも手が届きませんでしたが、こうしてHGUCで発売されたので、こうして購入した次第。
 折角発売されたのだし、ここはデストロイモードと作り比べてみよう! と言うことで両方買い揃えることにしました。


【2.キットについて】
 キットはいろプラ1枚、クリアパーツ1枚、ポリキャップ1枚を含むランナー7枚構成です。

 4振りあるビームサーベルはスライド金型を使って再現。

 すねの前面はこれだけ複雑で奥行きがあるのに一体成形で作られています。

 特筆すべきは、量産機でもないのに、ふくらはぎや肩のランナーは左右共通となっており、きちんとコストカットがされていることです。

 さて、気になるユニコーンモードとの共通部分ですが、予想外に少ないです。
 色プラのランナーがコマ替えで流用されている以外は、ポリキャップくらいしか使い回しはありません。

 同じパーツのあるランナーを並べてみましたが、ごらんの通り。

 変形前と後で同じ部分のランナーは同じような位置関係で作られているのが心憎いですが、全くの別物ですね。


【3.プロポーション
 プロポーションはさすがスレンダーなデストロイモードに変形する前の姿だけあって骨太です。

 デストロイモードとユニコーンモードを別のキットにしただけあって、プロポーションは良好。
 個人の好みを別にすれば、文句のない出来映えでしょう。


【3.可動について】
 まず、使われているポリキャップについてはドライセンと共通のものを使っています。
 あれだけの重MSを保持できたポリキャップなので、標準的な体格のユニコーンでも関節のぐらつきはありません。

 驚かされるのは、ドライセンと同様首のボールジョイントがプラ製だという事ですね。

 ガンダムタイプだから、てっきり今までのノウハウでポリキャップだろうと思っていただけに意外です。
 ま、受け側のポリキャップを頭に仕込んでも大きくなるし、あまり複雑なパーツ構成はできません。OO 2nd Seasonのようにポリ製の首でも貧弱ですからねえ。

 ほか、新機軸としては肩のアーマーの固定方法があります。

 ご覧の通り、肩のブロックにアーマーを固定する方式はおなじみのものですが、従来と違ってピンの受け側が肩のブロック側にあるのは新しいですね。
 ピンの先が肩のポリキャップに接触して保持力に一役買わせている辺りはさすがですね。
 ほか、肩周りで言えば胸側の外装が一部割れ、かなり大胆な動きができます。

 ただ、全般的な可動範囲については、ガンダムOO 2nd Seasonや劇場版、ガンダムAGEに比べると、やや物足りなく感じます。

 肘や膝は90度からほんの少し深く曲がる程度。

つま先はまっすぐに伸ばしてもこの程度です。
 手首に至っては付け根のブロックがじゃまをして、ボールジョイントの恩恵はありません。

 HG-SEEDの頃の基準にすればよく動く方ですし、ABS樹脂を一切使わずにポリキャップが剥き出しの部分がないのも大した物です。
 ただ、可動の妨げになるスカートや装備品もないデザインだけにややもすると物足りなく感じてしまいます。
 この辺りは元のデザインで詳細なディテールまで決められている事と、5年前のデザインであることを考慮しておかないといけないのでしょうね。


【4.ディテール】
 ディテールについては、キットのままで特に不足はないように見受けられます。
 まあ、そもそもが複雑なデザインなので、正確な形まではなかなか記憶できません。きちんと設定画と見比べてはじめて気づくレベルでしょう。

 おそらく、すねの正面や、胸の側面、下腕の内側などはディテールが省略されているだろうとは推察されます。


【5.装備品・プレイバリュー】
 ユニコーンガンダムの初期装備品はきわめてベーシックで、ビームマグナム、バズーカ、ビームサーベル4振(内2振をトンファーとして使用)、そしてシールドです。
 キットにはその内ビームマグナムを除く全てが入っています。

 バズーカは、継ぎ目が複雑なディテールにかからないようによく調整された見事な分割です。
 ただ、センサーの継ぎ目は最低限の部品で目立たないようになっていますが、できれば別パーツにした方が助かったようにも思えます。

 シールドもまた複雑な構成をよく再現できていますが、バランス的には下半分が小さく、本編と比べると小さいようですね。
 最大の特徴であるビームトンファーのギミックが再現されていないのも少し寂しいですね。

 最大限パーツを展開しても90度です。


【6.おしまいに】
 組み立ててみると、骨太なプロポーション、シンプルなシルエットながらもνガンダムの面影のある各部のディテールなど、なかなか奥深いデザインだと思いました。

 ただ、武器がバズーカ一挺とビームサーベルだけではいかにも訴求力が不足しています。
 できればビームガトリングガンも欲しかったところですね。
 ネタバレにはなるのですが、事前に小説版は発表されていてガンダムエースにはMG用のガトリングが付録に付いたくらいです。
 全く事前情報がない状態で現在進行形で楽しむ作品でもないですし。
 近所の模型屋でデストロイモードだけはすぐに売り切れるのに、ユニコーンモードが長らく残っていた事を考えるにそんな思いに駆られます。

 総じて言えば、高い技術力で手堅くまとまっているのですが、今一つパンチが足りないように感じられました。