アナザー映画版見に行きました

【はじめに】
 今回見に行った映画はアナザー。
 綾辻行人の小説が原作で、今年アニメも放送されていた作品です。
 まあ、いかにも私なんぞだとアニメも小説も制覇しているぜ! とかになりそうなものですが、実際のところは、アニメはHDDに死蔵されるだけのエアチェック状態だし、小説もここしばらくライトノベル離れが進む一方でこれまたノーチェック。

 じゃあなぜ見に行ったかというと、ヒロイン見崎鳴を演じる橋本愛が綺麗で可愛かったから、というごくしょーもない理由による。
 まあ、それだけならば駄作の可能性もあったんだけど、アニメの評価は悪くもないし、新聞読んでたら橋本愛のインタビューも載っていたし、これは見るしかあるめえと言うことで、映画館に旅立った。

 恐ろしいことに宮崎県は県内に映画館が4館しかない。その内宮崎市には二つがあるわけだけど、片方だけで1日1回しか上映していないという冷遇ぶりだ。
 夕張で映画祭が開かれる理由として、冬に何も楽しみがないから、夕張は映画産業が栄えたと言う。宮崎市だって雪に閉ざされることはないが、よく雨が降るし(宮崎県の降水量は県別で見れば全国1位)、よくビルの1階にはセブンイレブンが入居していたと思しきレンガ貼りの空きテナントを見かけるくらい過疎化が進行している。
 ならば映画が栄えてもいいはずなのだけど、たぶん民放が二局しかないせいでケーブルテレビ加入率が全国1位だから、ますます映像娯楽はインドア化して映画館は過疎化していくんですな。
 宮崎県負のスパイラルが見えたところで、話は現実から映画へ引き戻すぞ。


【感想】
 いや、素晴らしかった!
 橋本愛は美しくも可愛いし、こんな女の子とお近付きになれた主人公は果てしなく羨ましいです。本筋とは関係なく、ほらそこちゅーしろ! 抱きしめろ! とか煩悩むき出しな事を脳内では叫んでおりましたよ。

 本筋に戻すと、この映画のジャンルはホラーという事になるのだろうけれど、上質な事にホラー要素は最小限に抑えられているんですな。
 怖いシーンは怖い。
 ただ、それ以外のシーンは不必要に不気味にしたり、気持ち悪くしたりして脅そうという意図がないんですな。
 むしろ目立つのが学園物・青春物としての要素。
 主人公とヒロインの交流とか、クライマックスで二人とも保護者から自立や保護者離れを経験するあたりとかもう大好き。 
 ラストで怪奇現象自体は根絶された訳ではなく14年たった現在も続いていることが示されていたけれど、大人になる通過儀礼の装置として描くのだとしたらなるほど残さないといけないなあ、と思いました。

 まあ、通過儀礼と捉えるには、作中の大人たちも死者の弔い方を間違えたり、現実を直視できなかったために今回の悲劇が引き起こされていくわけで、どれだけ成熟のための装置として怪奇現象を意識して描いているのかは分からない。それとも、1998年の学生という設定にノスタルジーを感じる私のような観客向けへのメッセージだったリするのだろうか。
 ま、疑問な点も残るけれど、それは自分の読解力や作品への理解の不足かもしれず、満足できる作品でした。


【おまけ:背景美術】
 もっとも惜しかったのが、ここ。
 作中の時間は1998年のGW明けから夏でしたが、背景を見ると山は紅葉しているし雑草も枯れていて、10月〜12月の撮影だったように見受けられます。
 おそらく、今年のアニメ放送直後に劇場版を上映するために急ピッチで撮影を進めたため、季節が合わなかったのでしょう。
 ロケ地の町並みとか、背景美術が綺麗なので、もう少しこだわっても良かったのに。


【おまけの2:六番目の小夜子
 学校を卒業する3年生と言う年齢、過去の卒業生から連綿と受け継がれる行事、神秘的な少女という道具立ては、私の好きな恩田陸の『六番目の小夜子』と似ている。
 そういえば、『六番目の小夜子』の放送当時に発行された単行本に綾辻行人は解説を書いていたような。
 何となく関連がありそうな気がしないわけでもないし、今度は『六番目の小夜子』をアニメでリメイクとかあってもいいですね、ハイ。