増税阻止には遅すぎる
ホンダ社長「軽自動車税は諸外国並みの負担率。上げるのは受け入れがたい」--軽自動車税の「増税」提言に反発
【1.はじめに】
来年から段階的に引き上げられる消費税増税に伴って、軽自動車の増税をしようとしている動きがいよいよ本格化している。
やろうとしているのはずいぶん前からの話だが、ここに来てやっとホンダから反対の声が上がった。
【2.分かれる反対派と沈黙派】
この軽自動車増税の動きは動向をみていると興味深い。
早い段階からスズキは軽自動車の税金アップに対して、「弱い者いじめだ」と反発。
ダイハツも続いていたが、その他の軽自動車のメーカーも黙っていた。
考えてみれば、軽自動車の増税というのは、自動車取得税の廃止と紙一重だから、自動車メーカーとしては中々反対しにくいところもあるのだろう。
維持費は増加するが、購入にかかる負担が減る以上、買い替え需要などもある程度期待できる。
だからこそ、残りのホンダ、日産、三菱は黙っているのだろうと思っていた。
なにしろこれらのメーカーは普通自動車も作っているし、ホンダはN BOXベースの50万円くらいの自動車をインド向けに販売する予定だし、日産三菱連合はekワゴン(DAYZ)を発表した際に世界市場に出したいと両社の社長も言っていたし。
それだけに意外ではあるのだが、正直遅いとは思う。
スズキ社長が発言したのは半年くらい前だし、ダイハツは3か月くらい前だっけ? この段になって言い出したのは、消費者向けのポーズに過ぎないのではないか、と思う。
【3.日本のためにも軽自動車】
もちろん、軽自動車の増税は減っている地方の税収を補うためだという意見もあるだろう。
だが、考えても見てほしい。
軽自動車は日本独自の規格であり、工場は日本にあるのだ。
Nシリーズを作ったホンダの技術者は、日本人の雇用を守るために、ホンダの軽自動車の復活をさせたと発言している。
日産と三菱のリッターカーであるマーチ、ミラージュは共にタイでの生産になっているが、NMKVは三菱の水島工場で生産されている。
軽自動車を優遇しないのは、日本人の雇用を守らないという事であり、国力の低下につながらないか。
【4.日本政府は長期的なヴィジョンを示せ】
増税は国債の返済や疲弊する地方の救済のために必要である。
ここ1-2年特に声高に叫ばれるこの声はうなづけるところは多いのだが、疑問は残り続ける。
いつまで、国債に対してパッチワーク的に増税を続けるのか?
増税の果てに何があるのか?
なんでもいいからヴィジョンを示して欲しい物だ。
増税はするが、今年から少子化対策をきちんとやるから、25年後には年金の心配をしなくていい社会を作りますだとか。
軽自動車を増税するが、軽自動車を基にした自動車を新興国に輸出できるように国としてもきちんとバックアップしていきますとか。
それが政治としての増税をしたツケを払う責任の取り方と言う物だ。
安倍内閣になってから国の威勢は良くなったが、そこまでグローバルで長期的なヴィジョンがあるのか。
『この先』が見えてこない事が大層心配である。