俺が後輩のお蔭で40年前の美少女と納豆について語り合う事になった件について。

納豆。慎ましやかな日々を送る俺にとって、日々の食卓に欠かせない食材!
植物質にしてタンパク質という矛盾に見せかけた一石二鳥!
ねばねばと糸を引くさまは触手系のエロスを思わせ、ぐるぐるとかき混ぜて食べるプロセスはドリルや銀河の渦を思わせて男の浪漫!!
ワンパックあたりの単価が3〜40円、食べ方も辛子か山葵か慎ましやかなバリエーションがあり、大和撫子な感じが萌え萌えだぜ!!!

この食べ物を独り暮らししてから再発見した事をFaceBookに書いたら、会社の後輩が生活の知恵を授けてくれた。
特売の時にまとめ買いして冷凍しておけば、日持ちするというのだ。

近所のマックスバリューでまとめ買いするのがすっかり習慣になった私だが、消費税増税のため特売の時のまとめ買いがすっかりエスカレートしてしまった。
カゴいっぱいの納豆を差し出すと、顔だけはなじみになった40年前の美少女(少しは現実に夢を挿入したいものだ)が目を丸くして尋ねてくるではないか。
「これ、料理で全部使うんですか?」
「ええ、冷凍すると日持ちするので」
 高校時代読んだインパール戦線の体験記で、ビルマでは1日と持たなかった納豆が、ですよ! と言いたいところだが、そこまでの年ではないだろうし、分かる年齢にはビルマインパールはトラウマかもしれない。そこはお口にチャックだ。
「冷凍して大丈夫なんですか?」
「ええ、冷蔵庫に1日おいとけば溶けますし、急ぎならばレンジで40秒から1分で程よくなります」
 熟練の主婦――40年若くてずっと身近にいればタコさんウィンナーが入ったお弁当とか作ってくれそうな食への情熱がある――は、料理熱心らしくうんうんと頷き、
「はあー、勉強になりました」
 とのたまった。うん、40年の時間と東京と宮崎の空間は実に惜しいと妄想をしながら私はプリペイド式のカードで会計を済ませてレジ袋に食材を詰め込んだ。

納豆、それは生活の知恵。
納豆、それはコミュ障への救済。
納豆、それは時空を超えた美少女との出会い。

まあ、納豆菌が脳に回っただけかもしれない。
偏差値を上げたいのならば食べない方が良いかもしれない。
ただ、馬鹿と天才は紙一重という。おいらは最近山葵ばっかりかけているから阿呆になったかもしれん。皆様にとってメジャーな辛子ならばこうならないかもしれない可能性を書き添えて結びとしておこう。