マッサン11/12(水)放送分

 いやあ、何だかすごいバカ展開だ。
 鴨居の大将がマッサンの夢である日本で初めてのウヰスキーの製造に着手しようとしている事をエリーから知らされたマッサン。今からでも鴨居商店に再就職すべきというエリーのアドバイスを脇に、逆立ちして歌をうたいだして聞く耳を持たない。
 おまけに借家なのにパン焼きを始めるとかで、狭い庭に煉瓦で窯を作り始めましたよ。
 近所迷惑やら、大家さんからの苦言とか大丈夫なのかしら。


 前々から人妻のエリーにちょっかいを出したり、先週アリバイ工作で書かれたマッサンの小説『吾輩はウヰスキーである』で成功者として登場したり、ライバルとして示唆されていた鴨居の大将がついに具体的な壁としてマッサンの前に立ちはだかりだした回なのに、素敵なヘタレっぷりに今後がしんぱ……いやいや、ワクワクさせられますな(汗)。


 しかし、鴨居の大将、すべてを持ってるよ。
 史実はどうあれ、ドラマ的には、ウヰスキーは日本人にとって初めての酒であり、そのせいでマッサンは株主総会で敗退して退職になったわけだ。
 真面目に考えれば、鴨居商店並みの資本力を持って、まず外国産でもウヰスキーを日本人の食生活に定着させ、ウヰスキー販売の実績と知名度を上げながら5年後の国産ウヰスキーの熟成を待ち、それで打って出れば手堅く成功できそうなものだけど。
 尤も、そうするとそもそも住吉酒造の社長とマッサンがそもそもスコットランドウヰスキー製造のノウハウを学ぼうとしたきっかけのウヰスキーとの出会いって何? という疑問も出るのだけど、これはわたくしの連想から派生した疑問だからドラマ的には大事でもないし、たぶん描写される事は多分ないでしょう。


 話しはそれたけど、パン焼きは逆転の手札なのか?
 OPで麦が歌われていたけれど、パン作りがヒントになったり、欧米の食文化をパッケージ化して提供する地ならしになっていくのか。でも相当気が長い話しだ。
 ドラマ的にはまったく優秀な経営者としての片鱗が見えないマッサンだけど、今は本田宗一郎でいうと終戦直後のニート状態だったり、スティーブ・ジョブズだとアップルから追い出された状態だから、とりあえず見守るしかないのよね。


 本田宗一郎はあの後バタバタを作り、ジョブズはアップルを去った後ピクサーでアニメを作り、それぞれあるべき所に辿り着いた。マッサンもきっと……!
 ただし、ホンダついでで考えるとマッサンは技術が突出し、経済のセンスがない本田宗一郎のポジションである。
 経営に関する藤沢武夫のポジションをエリーが補完していくと考えればいいのかな。エリーの方が考えが現実的だし、欧米人らしいドライさ(住吉酒造を辞めて鴨居商店へ転職するようにアドバイス)はとても経営者向きだ。


 以前私は本作をバイキングのような贅沢な物語と評した。ドラマ的には今選択肢はあまりなさそうだが(それでも仕事が簡単に見つかってホイホイ辞められたり、支払いの期限を延ばせるのはずいぶん恵まれている)、安心感があるのはエリーのおかげである。
 チートとまでは言わないけど、俺TUEEEE系のラノベ主人公並みに様々な試練をなんとかこなしていヒロインて良いです。