N-BOX Slashは『お買い得モデル』なのか?
今週のお題「今年買ってよかったもの」(2014年をふりかえる第2回)
※新型車のN-BOX Slashが「今年買ってよかったもの」になるか考察しました。
【1.N-BOX Slashはおそらくやっぱり軽ハイトールワゴン】
前回の日記でチョップドルーフという趣旨から、室内の底面積がN-BOXと同様であればN-BOX Slashは軽ハイトールワゴンとしてのアイデンティティは保てるのではないかということが分かった。
ともすると、消費者としては、やはり気になるのはお値段だろう。なにしろ、マガジンXでかなり早くから報道されていた書きっぷりだと、外見はワルくなるが背が低いから燃費は優等生だろうと予想されていたくらいだ。
ひょっとしてお買い得モデルなのかもしれない。
今回ベストカー2015年1月10日号で報道された燃費とベースグレードの価格を元に、各軽ハイトールワゴンでの比較を行った。
【2.比較! 燃費・価格】
メーカー | 名称 | 高さ(mm) | N/A燃費(km/l) | ターボ燃費(km/l) | ベースグレード価格(円) |
---|---|---|---|---|---|
ダイハツ | ウェイク | 1835 | 25.4 | 23.8 | 135万 |
ダイハツ | タント | 1750 | 28 | 26 | 120万3429 |
スズキ | スペーシア | 1735 | 29 | 26 | 126万3600 |
NMKV | DAYZ Roox | 1775 | 26 | 22.2 | 127万5480 |
ホンダ | N-BOX | 1780 | 25.2 | 23.4 | 127万5326 |
ホンダ | N-BOX+ | 1780 | 24*1 | 22.2 | 138万8572 |
ホンダ | N-BOX Slash | 1670 | 25.8 | 24 | 138万 |
ベースグレードの価格は意外と高価で、同じ軽ハイトールワゴンではウェイクよりも高く、N-BOX+に迫る値段になっている。
N-BOXの派生車種でけして多くはないであろう生産台数で上積みできるコストや採算が取れる値段はこれくらいというホンダの認識なのだろう。ウェイクより3万円高いのは、ウェイクの提供する趣味よりも、N-BOX Slashが提供するそれを楽しみにする人にとってはあまり比べる対象でもないかもしれない。
ただ、気になるのは燃費の部分だ。リッター25.8キロは、ノーマルのN-BOXよりは良い数値だ。だが、その差はリッターあたり0.6キロに過ぎないのだ。
N-BOX Slashは天井を低くしているのでその分ピラーやガラスの重量は減少しているだろうし、後部ドアもスライド式ではなくヒンジ式だから軽量化はかなり進んでいるはずだ。在来のN-BOXシリーズのように自転車を積める事をアピールする事も難しいサイズなので後部ハッチも小さくでき、強度保持も無理のない構造になるだろう。空力だって良くなっているはずだ。
たぶん、そうできなかったのは、N-BOX Slash最大の特徴に理由があると思う。
【3.特徴のためのN-BOXシリーズ?】
N-BOX Slashの最大の売りは、8つのスピーカーとサブウーファーによる音響の良さ『サウンドマッピングシステム』だ。
ただこれは諸刃の剣で、乗っている方は良くても、周囲にとっては漏れている音は迷惑でしかない。個人の趣味でカスタマイズした車ならともかく、メーカーが公式で生産している車がそれだとマズいので、当然対策はしているだろう。
防音というといかに振動をさせないかに尽きる。遮音フェルトの使用もそうだが、ガラスや鉄板の厚みを増し要所に鉛など錘を使う事もあるという。
N-BOX Slashの実際のスペックや防音設備がどうなっているのかはまだ分からない。
ただ、こうして音響対策をしてみると、軽トールワゴンに近い車体ながら燃費が悪くなったので、N-WGNファミリーではなくN-BOXファミリーとして売り出したのではないかとも考えられよう。ほかにも後部のスピーカーへの回路や配線に電動スライドドア用のスペースが流用できるからとかそんな設計の都合もあるかもしれないけど、ここら辺は私のような素人の妄想どまりだろう。
【4.ナンバーワンよりオンリーワン】
ただ、この優れた防音設備を活かして8つのスピーカーからの迫力のサウンドを楽しめるのは、最上級のXやXターボパッケージだけになる。
ならばあまり意味がないのか、と言われるとそんな事はない。
防音が出来ているという事は、例えば軽自動車特有のエンジン音や振動もあまり気にならないはずだ。
また、各部材が厚ければ剛性感があり、有事の際は他の軽自動車よりも安全性が高いかもしれない。Aパッケージ以上はN-WGNと同じく安全性で5つ星は取れるのではないだろうか。
こうしてみると、今までの軽自動車での主流の価値観である安さや燃費とはまた違った価値観の自動車であり、まさしくナンバーワンよりオンリーワンとして設計されたクルマなのだろうと考えられる。
お買い得かどうかは今までの価値観よりも、個人個人の価値観に任されているように感じられる。
なお、以上は全て私の予想に過ぎないので、12月22日の発表で全て覆される可能性がある事は付記しておきます。
どうなるかなあ。