S660とアルトから見るお上への対策


【1.遅ればせながら、ベストカー2015年1月26日号のS660情報でも】
 年末年始にバタついて更新が遅れたけれど、まとまった時間もできたので更新するぞ。
 まあ、雑誌記事を見て妄想を膨らますのがこのブログの趣旨。リアルタイムで正確な情報を重視する方は東京オートサロン2015の速報とかをご覧あれ。


【2.突破!? 自主規制】
 まったく買える見通しが立たない軽スポーツに私がここまで粘着しているのも、デザインのかっこよさと、それ以上に軽自動車の64馬力自主規制を突破できるかどうかが気にかかっているからだった。
 紙メディアとして最新である本ベストカーの情報によれば2015年4月に発売されるのは、64馬力車のみだが、100馬力車はS1000が追加設定されるタイミングで登場との事。
 ホリデーオートの記事では、100馬力版のS660は登録車扱いとして発売されるとの事で、モーターショウ特集のベストカーでも100馬力版のS660が記載されるだけで、それが軽自動車の自主規制を破るものなのかは明言がなかった。が、今回の記事でS660が100馬力自主規制を破るだろうというのは講談社の変わらぬスタンスという事が分かった。
 まあ、4月からの増税は不可避だが、それに伴い、軽自動車にもエコカー減税が適用されるのでお役所とも一時休戦と言ったところだろうか。
 以前の記事にも書いた通り、軽自動車がガラパゴスであり続けるのならばいいのだけど、TPP対策で国際市場で戦うには100馬力というのはオーバースペック過ぎる。
 私自身としては、100馬力というのはお役所と取引をするために切りのいい数字を挙げているに過ぎず、譲歩した状態で国際Aセグメントとして75〜85馬力を勝ち取るシナリオではないかと考えている。
 自主規制の壁はたぶん厚い。
 例えば、14年の秋にリニューアルされたスズキのワゴンRもそうだ。ハイブリッド動力『S-エネチャージ』を搭載しているのは、N/AエンジンのワゴンRのみで、ターボモデルはモーターアシストを付けると64馬力を越えてしまうからか搭載はなし。モーターアシストが動力のアップグレードに繋がると判断されたからか、スペーシアはノーマルと上級モデルであるカスタムにそれぞれターボの設定があるが、新ワゴンRのノーマル最上級グレードはN/Aエンジンと『S-エネチャージ』の組み合わせだ。
 動力が増えたワゴンRこそが真っ先に規制を破れそうなものなのだが。
 もちろん、スズキとて大人しくやられている心算もないのだろう。当初新型アルトの燃費をリッター40キロにするのは、増税分を燃費で取り戻すためと説明されていた。
 結局発売されたアルトの燃費はリッター37キロだったわけだが、それでもアクアと並んでガソリン車ならば市販最高クラスの燃費だし、S-エネチャージも搭載していないので、今後の政治的・あるいは技術的な動向次第だろう。前者は増税、後者はS-エネチャージの改良だ。ワゴンRの価格上昇分が燃費で取り返しづらかったから、より低価格で提供できるようになれば復活の可能性は高いと思う。
 いずれにせよ、各社各様の不利な状況を覆すためのカードを用意しているのはさすがだ。

 かつてホンダはアメリカの厳しい排ガス規制をクリアするために、画期的なCVCCエンジンを作り上げた。
 CVCCエンジンのテクノロジーには、第二次世界大戦のさなか、ガソリン不足の中自動車を動かすための旧ソ連のテクノロジーが使われていたという。
 本当に物を作り出していく技術者というのは、苦境にあってブレイクスルーを見出していくものだなあ。

 NMKVもスズキもダイハツもホンダも、それぞれの技術力と政治力(?)で増税の逆境を覆せるか。2015年の軽自動車の発展が楽しみにしたい。