N-BOX Slashは、意外性と付加価値で勝負か!?


今週のお題「今だから言えること」
【1.はじめに】
 N-BOX Slashも発売から1か月近く経ち、道々ホンダディーラーの近くを通りかかると特徴的なツートンカラーやクーペ風ボディが目に付くようになってきた。
 さて、発売前にN-BOX Slashについていくつか予想の日記を書いた。

2014年11月15日 N-BOX/(スラッシュ)の事前情報が!
2014年11月29日 N-BOX Slashティザーサイト公開!
2014年12月12日 N-BOX Slash発売間近! 軽ハイトールワゴンの境界って?
2014年12月13日 N-BOX Slashは『お買い得モデル』なのか?

 諸元も公開され、ある程度報道も出そろってきたので、答え合わせでもしてみようかと思いますです。
 これもまた『今だから言える事』って奴ですね!


【2.室内サイズやもろもろ】
 さて、早速室内サイズから。
 室内長/室内幅/室内高は、それぞれ2180/1335/1290ミリメートル。
 長さは在来のN-BOX通り。幅は通常のN-BOX(1350)、N-WGN(1355)よりも少し狭い。高さは在来のN-BOXと同様、全高から380mm短縮した1290mmのようだ。幅が狭くなっている理由はきちんとあるようなので後述する。
 在来の規格を当てはめて考えるような車種ではないだろうけれど、他社の軽トールワゴンよりも室内のサイズは大きいので、軽ハイトールワゴンのカテゴリに入らなくもないぎりぎりのアイデンティティを保てる作りになっている。ここらは予想がほぼ当たっていたようだ。
 予想が外れた部分というと、リアシートのスライド機能だ。
 シートのデザインや裁断面がN-WGNよりもN-BOXやN-ONEに近いためおそらくスライド機能はないと思っていたが、ウルトラシートだそうで、N-WGNでは省いたチップアップ機能(座面を跳ね上げて床面を広く使う機能)や、荷室と面一になるダイブダウン(背もたれを前に倒して荷室を広げる)機能まで保持している。
 相当な使い勝手があるし、N-BOXと同様に確保した前後幅を有効に活用できる素晴らしい機能だと思う。

 もう一つの予想として、防音のための装備が追加されるのではないかと書いた。
 ここに関してはデフォルトでの防音について公式ページに記載はないが、日経トレンディネットの記載によるとサウンドシステム搭載車には遮音材が追加され、デッドニングキット(ドアの共鳴を抑える装備)まで用意されているという。

激戦の軽市場にファッション性と音楽で勝負!? ホンダ「N-BOXスラッシュ」

【試乗】ホンダ N-BOXスラッシュ 試乗レポート/今井優杏

 日経トレンディネットをそのまま読むのならば、遮音材はデフォルトで付き、『用意されたデッドニングキット』が、オプションのピュアサウンドブースなのだろうか。
 ピュアサウンドブースの解説図を見ると、ドア内部に制振シート、吸音シートを設置するようなので、このスペースから室内幅を狭めているのだろう。
 試乗レポートで提供された個体がデフォルト装備のままかピュアサウンドブースが装備されたのかは分からない。が、室内の広さを快適さのためと捉えるならば、乗り心地も快適さであり、品質をうまくシフトさせたと捉えるべきなのだろう。


【3.新装備、新技術!】
 予想的中でどやぁ、ばっかりだと面白くないし、わし本人もそんな奴のブログは読んでいて不愉快なので、きっちり予想外なところも書くぞ。
 まずはツートンカラーの改善。
 N-BOX+以来、そしてN-ONEでブレイクしたNシリーズのツートンカラーだけど、N-BOX Slashはきっちりと進化していた。
 N-ONEはリリース当初ツートンカラーの納車は7〜4か月くらいと言われていた。これはおそらくツートンの主体をルーフが黒い物にしていたため、工数が掛かっていたのだろう。
 発色の鮮やかな本体色の塗装をして、ルーフを残してマスキングしてルーフに黒の塗装をするのは、マスキング面積の多さから大変なものだと考えられる。
 だからこそ、変更や追加のあったカラーは基本的にルーフを銀色や白を主体にしている。これならば、色を塗られたルーフをマスキングして、隠ぺい力に劣る本体色を塗っても問題はないのだろう。価格面でもその工数の差は明らかで、N-ONEも、N-BOX Slashもルーフが白や銀のツートンは59400円高だが、黒いものは75000円高になっている。
 これは、軽のツートンで一日の長があるスズキも同様であり、例えば、ラパンやスペーシアでもツートンは白いルーフが主体となっている。
 また、ルーフのガーニッシュ(銀色のラインですな)や一部を別パーツにする事で、作業工数を1/4にする事が出来たという。単純に計算はできないが、N-BOX Slashや今のN-ONEなら、ツートンカラーの納期はもっと早くなっているだろう。
N-BOXスラッシュは2トーンルーフを前提に設計されていた!

 視点を内部に移すと、装備が豪華である事に気付く。一番廉価なGパッケージでもプラズマクラスター内蔵式のエアコンが付き、Xパッケージ以上は在来のNシリーズならばSS(鈴鹿スペシャル)しか付かないようなシートヒーターが付き、ステアリングヒーターまで付くという。

 予想外に加えて新技術・新装備に関する事を書いたので、肝心のスピーカーの機能に触れたいところだ。が、ここに関しては音楽の成績が2だったので、わしは何も言えんとです。
 まあ、詳しい人を満足させそうな記事があったので、そちらをご参照ください。

【ホンダ N-BOXスラッシュ 発表】専用オーディオに日本の価値観が潜む


【4.付加価値とこれからと】
 いち消費者としてはいい物が安くなるに越したことはない。
 だが、安いものが当たり前になれば、社会人としての自分の仕事も法律違反のサービス残業偽装請負二重派遣により、買いたたかれる構図が見えてくる。物の価値に見合った値段を当たり前に設定できなければ、近代的な消費経済はシュリンクしていく。 
 ニューモデルマガジン X2015年2月号によると、軽自動車やコンパクトカーは利幅が少なく、コーティンングやメンテナンスのサービスなどでディーラーは利益を上げるゼロ円ケータイのような商売をしているのだという。

 軽自動車としては高いが、装備や機能は多くの物を持つN-BOX Slashは、それを必要だとか欲しいとか考えればお得である。スズキのアルトやマツダのSkyActiveのように純粋に車としての機能を高めるべきだという声も分かる。だが、ヘビーユーザー以外の声や、実用品としては今の性能で満足しているのでよりも嗜好品としての側面が欲しいユーザーが気持ちよくお金を払える一つの解を示している。
 ベストカー2015年1月26日のホンダ執行役員へのインタビューによると、N-BOX Slashで初代Nシリーズは完結し、次回はN-BOXのモデルチェンジだそうだ。
 その前の1月10日号の地獄耳コーナーだと、N-BOXの改良は'15年の2月ではないかとの事だが、それがこのモデルチェンジなのだろうか。

 これからもNシリーズがワクワクさせてくれることを願って筆を置きたい。